
くるみ歯科こども歯科クリニック
院長 竹中 純子
こんにちは!くるみ歯科こども歯科クリニック院長の竹中純子です。いつも皆様の健康を願い、日々の診療にあたっています。
今回は、少し重いテーマかもしれませんが、皆様にぜひ知っておいていただきたい「がん」と「歯周病」の意外な関係性について、専門的な知識を交えながら、分かりやすく丁寧にお伝えしていきたいと思います。
「え、歯周病ががんに関わるなんて、考えたこともなかった…」
そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、近年の研究では、歯周病が特定のがんのリスクを高める可能性が示唆されているのです。今回は、その驚くべき関連性について詳しく解説し、私たちが日頃からできる予防策についてもご紹介していきます。
1.歯周病とは?その進行と全身への影響

まず、歯周病とはどのような病気なのでしょうか?
歯周病は、歯ぐきの炎症から始まり、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)まで溶かしてしまう慢性的な感染症です。日本人の成人の多くがかかっている、またはその予備軍であると言われています。
歯周病の初期には自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことが少なくありません。しかし、進行すると歯ぐきの腫れや出血、口臭、歯がグラグラするなどの症状が現れ、最終的には歯を失ってしまうこともあります。
そして、見過ごせないのが、歯周病が全身の健康に及ぼす影響です。歯周病菌は、炎症を起こした歯ぐきの血管を通って全身に広がり、様々な病気のリスクを高めることがわかってきています。
歯周病は糖尿病を悪化させるだけでなく、糖尿病があると免疫力が低下し、歯周病も進行しやすいという悪循環が知られています。
・心血管疾患のリスク
歯周病菌が血管内で炎症を引き起こし、動脈硬化を促進する可能性が指摘されています。
・早産・低体重児出産のリスク
妊娠中の女性が歯周病にかかっていると、早産や低体重児出産のリスクが高まるという報告があります。
そして、近年注目されているのが歯周病とがんの関連性なのです。
2.驚きの研究結果!歯周病と特定のがんとの関連性

いくつかの疫学研究において、歯周病にかかっている人は、そうでない人に比べて特定のがんの発症リスクが高い傾向にあることが報告されています。
特に、関連性が示唆されているがんとしては、
歯周病菌が産生する特定の物質が、食道がん細胞の増殖を促進する可能性が研究されています。
・胃がん
歯周病菌の一種であるヘリコバクター・ピロリ菌との関連も指摘されていますが、歯周病菌自体も胃がんのリスクを高める可能性が示唆されています。
・膵臓がん
複数の研究で、歯周病と膵臓がんのリスク上昇との関連性が報告されています。
・肺がん
口腔内の細菌叢の変化が、肺がんのリスクに関与する可能性が示唆されています。
もちろん、これらの研究はまだ関連性を示唆するものであり、直接的な因果関係が完全に証明されているわけではありません。
しかし、慢性的な炎症や歯周病菌が全身に影響を与えることで、がん細胞の発生や増殖を間接的に促進する可能性は十分に考えられます。
3.なぜ歯周病ががんのリスクを高める可能性があるのか?

歯周病ががんのリスクを高めるメカニズムについては、まだ完全に解明されていませんが、いくつかの可能性が考えられています。
歯周病は、歯ぐきに慢性的な炎症を引き起こします。慢性的な炎症は、細胞のDNAを損傷させたり、がん細胞の増殖を促進する物質を放出したりする可能性があります。
・歯周病菌の全身への影響
歯周病菌やその代謝産物が、血液を通じて全身に運ばれ、様々な臓器に影響を与える可能性があります。
・免疫システムの異常
歯周病による慢性的な炎症が、全身の免疫システムに影響を与え、がん細胞に対する防御機能を低下させる可能性があります。
4.早期発見と適切な治療が重要

歯周病とがんの関連性が示唆されている今、私たちがより一層意識すべきことは、歯周病の早期発見と適切な治療です。
歯周病は、初期には自覚症状が少ないため、定期的な歯科検診を受けることが非常に重要です。歯科医師や歯科衛生士による専門的な検査を受けることで、早期に歯周病の兆候を発見し、適切な治療を開始することができます。
また、歯周病の治療は、単に症状を改善するだけでなく、全身の健康を守る上でも非常に重要です。適切な治療によって歯周病菌の数を減らし、炎症を抑えることは、がんのリスク低減にも繋がる可能性があります。
5.今すぐできる!歯周病予防のための3つの習慣

歯周病は、日々の適切なケアによって予防することができます。今日からぜひ以下の3つの習慣を実践してみてください。
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを使い、歯と歯の間、歯周ポケットの汚れを丁寧に落としましょう。特に、寝る前の歯磨きは最も重要です。
・バランスの取れた食生活
砂糖を多く含む食品や、粘着性の高い食品の摂取を控え、野菜や食物繊維を積極的に摂るように心がけましょう。
・歯科医院での定期的な検診とクリーニング
症状がなくても、3〜6ヶ月に一度は歯科医院を受診し、プロによるチェックと専門的なクリーニングを受けるようにしましょう。早期発見・早期治療、そして予防のためのアドバイスを受けることができます。
くるみ歯科こども歯科クリニックは、愛知県長久手市にある、女性院長と7名の女医が在籍する、地域に根差した歯科医院です。私たちは、患者様一人ひとりのお口の健康状態を丁寧に把握し、安心して治療を受けていただけるよう、丁寧な説明と痛みに配慮した診療を心がけています。
歯周病は、早期発見と適切な治療、そして日々の丁寧なケアが非常に重要です。「もしかして歯周病かも?」と感じたら、お気軽にご相談ください。また、定期的な検診やクリーニングを通じて、皆様の健康な毎日をサポートさせていただきます。
何かお口のことでお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。皆様のご来院を心よりお待ちしております。
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