
くるみ歯科こども歯科クリニック
院長 竹中 純子
今回は「小児 虫歯 感染 親から」というテーマについて、皆様にぜひ知っていただきたい大切な情報をお伝えしたいと思います。
「まさか、親から子供へ虫歯が感染するなんて…」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、残念ながら、それは決して珍しいことではないのです。
この記事では、お子様の虫歯がどのようにして親御さんから感染するのか、そのメカニズムや具体的な感染経路、そして最も重要な予防策について、専門的な知識を分かりやすく解説いたします。
お子様の健やかな笑顔を守るために、ぜひ最後までお読みください。
1.子供の虫歯はなぜできる?

まず、虫歯ができる基本的なメカニズムについて簡単にご説明しましょう。
お口の中には、様々な細菌が常に存在しています。その中に、糖分を栄養源として酸を作り出す「ミュータンス菌」と呼ばれる細菌がいます。
この酸が歯の表面のエナメル質を溶かすことで、虫歯が始まるのです。
お子様のお口の中には、生まれたばかりの頃にはミュータンス菌はほとんど存在しません。
では、一体どこからやってくるのでしょうか?
多くの場合、お子様の口の中に最初にミュータンス菌を持ち込むのは、ご両親をはじめとする周りの大人たちです。
特に、以下のような日常的な行為を通じて、唾液を介して虫歯菌が感染してしまう可能性があります。
1.同じ食器を使う
- スプーンやフォーク、箸などを親子で共有することで、大人の唾液がお子様の口に入り込み、虫歯菌が移行する可能性があります。
2.食べ物を口移しする
熱い食べ物を冷ますためや、食べやすいようにと、親御さんが一度口に入れたものを子供に与える行為は、直接的に唾液を交換することになり、非常に感染リスクの高い行為と言えます。
3.キスやスキンシップ
親御さんからの愛情表現であるキスも、唾液を介して虫歯菌が伝わる経路の一つです。特に、深いキスは唾液の交換量が多くなるため、注意が必要です。
4.おしゃぶりや哺乳瓶の共有
お子様が使っているおしゃぶりや哺乳瓶を、親御さんが誤って口に入れてしまうことも、感染のリスクを高めます。
5.咳やくしゃみ
親御さんの咳やくしゃみに含まれる唾液の飛沫が、お子様の口や鼻に入り込むことで、間接的に虫歯菌が感染する可能性も考えられます。
2.なぜ生まれたばかりの赤ちゃんは虫歯菌を持っていないの?

赤ちゃんは、お母さんのお腹の中にいる間は無菌状態に近いと言われています。生まれて初めて外界と接触する際に、様々な細菌に触れることになりますが、ミュータンス菌もその一つです。
しかし、生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中は、まだミュータンス菌が定着しにくい環境です。歯が生え揃っていないことや、唾液の性質などが影響していると考えられています。そのため、最初の感染をできるだけ遅らせ、菌の数を増やさないことが、お子様の虫歯予防において非常に重要になります。
特に注意が必要な時期は、生後1歳7ヶ月から2歳7ヶ月頃と言われています。この時期は「感染の窓」と呼ばれ、この時期にミュータンス菌に感染すると、その後虫歯になりやすい傾向があることが分かっています。
もちろん、この時期を過ぎたからといって安心できるわけではありませんが、この「感染の窓」と呼ばれる時期に、特に注意深く感染予防に取り組むことが大切です。
一度お子様のお口の中にミュータンス菌が定着してしまうと、完全に排除することは難しいと言われています。しかし、菌の数をコントロールし、お口の中の環境を整えることで、虫歯の進行を抑えることは可能です。
大切なのは、早期に感染を防ぐための対策を講じること、そして、もし感染してしまったとしても、菌を増やさないように適切なケアを続けることです。
3.親御さんができる!子供の虫歯を防ぐための具体的な対策

では、親御さんはどのようにして大切なお子様を虫歯菌の感染から守ることができるのでしょうか?具体的な対策をいくつかご紹介いたします。
お子様の歯が生え始めたら、定期的に歯科医院を受診し、専門家によるチェックやアドバイスを受けることが大切です。早期に虫歯を発見し、適切な治療や予防を行うことで、虫歯の進行を防ぐことができます。
2.食器やカトラリーの共有を避ける
親御さんが使ったスプーンやフォーク、箸などをお子様と共有するのは避けましょう。お子様専用の食器を用意し、使用後はしっかりと洗浄・消毒することが大切です。
3.食べ物の口移しは絶対にしない
熱い食べ物を冷ましたり、食べやすいように小さくしたりする際も、親御さんが直接口に入れるのは避けましょう。取り分け用のスプーンやハサミなどを活用してください。
4.キスをする際は注意する
親御さんからの愛情表現であるキスは大切ですが、特に「感染の窓」と呼ばれる時期のお子様への深いキスは、できるだけ控えるようにしましょう。頬や額へのキスにするなど、工夫が必要です。
5.おしゃぶりや哺乳瓶は共有しない
お子様が使っているおしゃぶりや哺乳瓶を、誤って親御さんが口に入れないように注意しましょう。もし口に入れてしまった場合は、しっかりと洗浄・消毒してからお子様に与えてください。
6.親御さん自身の口腔ケアを徹底する
親御さんのお口の中に虫歯菌が多いと、お子様への感染リスクも高まります。毎日の丁寧な歯磨きはもちろん、定期的な歯科検診やクリーニングを受け、お口の中の環境を清潔に保つことが非常に重要です。
7.妊娠中からのケアも大切
妊娠中のお母さんのお口の中の環境は、生まれてくる赤ちゃんへの影響も少なからずあります。妊娠中からしっかりと口腔ケアを行い、虫歯や歯周病を予防することが、結果的に赤ちゃんへの感染リスクを減らすことにも繋がります。
8.離乳食の与え方に注意する
離乳食を始める時期や、与える食品の種類、与え方なども、お子様の口腔内の細菌バランスに影響を与える可能性があります。甘いものばかりを与えない、時間を決めて食事をするなど、規則正しい食生活を心がけましょう。
9.フッ化物配合歯磨き粉の使用
お子様の歯が生え始めたら、フッ化物配合の歯磨き粉を使用することをおすすめします。フッ化物には、歯の再石灰化を促し、虫歯の進行を抑制する効果があります。
4.もし虫歯ができてしまったら…

もしお子様の歯に虫歯ができてしまった場合は、決して自己判断せずに、早めに歯科医院を受診してください。初期の虫歯であれば、進行を抑えるための治療や予防処置を行うことができます。
放置してしまうと、虫歯はどんどん進行し、痛みが出たり、歯を失ってしまう可能性もあります。また、重度の虫歯は、お子様の成長や全身の健康にも悪影響を及ぼすことがあります。
くるみ歯科では、お子様一人ひとりの成長に合わせた丁寧な診療を心がけております。女性院長をはじめ、子育て経験のある女性歯科医師も多数在籍しており、お子様や親御さんの不安な気持ちに寄り添いながら、安心して治療を受けていただける環境を整えております。
また、虫歯予防にも力を入れており、フッ化物塗布やシーラントなどの予防処置はもちろん、保護者の方へのブラッシング指導や、離乳食に関するアドバイスなども行っております。
「うちの子の歯、何か気になるな…」「虫歯予防についてもっと詳しく知りたい」など、どんな些細なことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。皆様とご家族の笑顔を守るために、精一杯サポートさせていただきます。
- 院長:竹中 純子
- 住所:〒480-1135 愛知県長久手市下山3-1
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