
くるみ歯科こども歯科クリニック
院長 竹中 純子
3月は、私たち日本人にとって「防災」を改めて意識する特別な月です。東日本大震災から年月が経ち、最近でも能登半島地震など各地で大きな災害が相次いでいます。ここ長久手や藤が丘エリアにお住まいの皆様は、非常に意識が高く、自治体のハザードマップを確認したり、非常食や飲料水を備蓄したりと、万全の備えをされているご家庭も多いことでしょう。
しかし、歯科医師として、そして皆様と同じように大切な家族を持つ一人の母親として、皆さんに問いかけたいことがあります。
「皆様の非常用持ち出し袋の中に、家族全員分の『新しい歯ブラシ』や『口腔ケアグッズ』は確実に入っていますか?」
「命に関わる非常時に、歯磨きなんて二の次でしょう?」「水が貴重な時に、口をゆすぐなんて贅沢だ」……。もしそう思われているとしたら、それは非常に危険な誤解です。実は、震災後の避難生活において、直接的な怪我や建物の倒壊以外で亡くなる「災害関連死」の大きな原因の一つが、お口の中の細菌が肺に入って起こる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」なのです。
過去の震災データを振り返ると、震災から数週間後に肺炎で亡くなる高齢者や体力の落ちたお子様が急増する傾向があります。水が足りず、歯磨きができない環境が続くと、お口の中では爆発的に細菌が増殖します。通常、健康な時であれば唾液が細菌を洗い流してくれますが、極限のストレス下では唾液の分泌が止まり、自浄作用が失われます。その結果、増えすぎた細菌が誤って気管から肺に入り込み、命に関わる重篤な肺炎を引き起こしてしまうのです。
くるみ歯科では、5名の女医が「もし今、ここで災害が起きたら、私たちは患者様と家族をどう守るか」を真剣に議論しています。私たちが提供しているのは、日常のむし歯治療だけではありません。どんな過酷な状況下でも、地域の皆様が生き延び、健康でいられるための「知識」をお伝えすることも、歯科医師としての、そして地域の医療機関としての重要な使命だと考えています。
本記事では、なぜ災害時に「お口のケア」が命に直結するのかという科学的な理由から、水が使えない避難所での具体的な清掃テクニック、そしてくるみ歯科の女医たちが実際に「防災ポーチ」に忍ばせている厳選アイテムまで徹底解説します。この記事を読み終えた時、あなたの家の非常用持ち出し袋のチェックリストに、「歯科グッズ」という項目が太字で加わっているはずです。
1.避難所での沈黙の殺人者「誤嚥性肺炎」と戦うための知識

■ 災害大国の教訓:水がなくても「お口」は守らなければならない理由
阪神・淡路大震災では、震災後、肺炎で亡くなった方が200名以上にのぼりました。その多くが、口腔ケアが不十分だったことによる誤嚥性肺炎だったことが後の調査で判明しています。 お口は、体の中に細菌やウイルスが入る「最大の玄関口」です。ここが汚れていると、呼吸とともに細菌が気管に入り込みます。特に、避難所のような慣れない環境、寒さ、睡眠不足が続く場所では、人の免疫力は著しく低下します。そんな時、お口の中を放置することは、敵(細菌)を玄関から招き入れているのと同じことなのです。
■ 水が使えない時の「プロの裏技」口腔ケア・シミュレーション
断水していても、コップ1杯の水さえあれば、家族全員の口腔ケアが可能です。以下の手順を覚えておいてください。
- ・コップ1杯の水を準備する:貴重な水ですが、これだけで十分です。
- ・歯ブラシを少しだけ濡らす:ブラシ全体を濡らす必要はありません。
- ・まずは「空磨き」をする:水を使わず、ブラシの毛先だけで汚れをかき出します。
- ・汚れたブラシをティッシュで拭く:ここがポイントです。水で洗わず、ティッシュや布でブラシの汚れを拭い取ります。
- ・仕上げに大さじ1杯の水ですすぐ:最後に、ほんの少しの水をお口に含み、ブクブクうがいをして吐き出します。
もし歯ブラシすらない場合は、清潔なハンカチやガーゼを指に巻き、お口の中を拭うだけでも細菌の数は劇的に減ります。
■ 「唾液」を出すマッサージが命を救う
水がない時、最大の武器になるのは自分自身の「唾液」です。唾液には強力な殺菌作用と自浄作用があります。
- ・耳下腺(じかせん)マッサージ:耳の付け根の少し前、上の奥歯あたりの頬を指で円を描くようにマッサージします。
- ・顎下腺(がっかせん)マッサージ:顎の骨の内側の柔らかい部分を、親指でゆっくり突き上げるように押します。 これだけで、お口の中に「天然の洗浄液」である唾液が溢れてきます。お子様と一緒に「唾液を出す競争」として取り組むのも、ストレス緩和に役立ちます。
■ くるみ歯科・女医軍団の「防災歯科ポーチ」厳選5アイテム
当院の女医たちが実際に準備している、歯科医師ならではの視点による備えです。
・入れ歯洗浄剤(ご家族用):入れ歯の汚れは全身疾患に直結するため、高齢のご家族がいる場合は必須です。
・使い捨て歯ブラシ(10本程度):洗って使うのが難しい状況を想定し、多めに。
・口腔ケアウェットシート:水なしでお口全体を拭ける、避難生活の最強アイテム。
・高濃度フッ素配合ジェル(研磨剤なし):ゆすがなくて良いため、水が貴重な時に歯を強化できます。
・キシリトール100%ガム・タブレット:噛むことで唾液を出し、自律神経を整える効果も期待できます。
2.災害時のお口の悩み、お答えします。

A. 短期間の避難生活で歯並びが急変することはありませんが、ストレスによる「食いしばり」や「指しゃぶり」の再発には注意が必要です。くるみ歯科の女医たちは、お子様の不安を和らげるために、お口の周りを優しくマッサージしてあげることを勧めています。お顔に触れるスキンシップは、お子様の安心感に繋がります。
Q2. 矯正治療中に被災しました。装置が外れたらどうすれば?
A. 無理に自分で直そうとせず、防災バッグに入れておいた「矯正用ワックス」で尖った部分を覆ってください。ワックスがない場合は、清潔なガーゼを丸めて挟むだけでも痛みが和らぎます。くるみ歯科の患者様には、緊急連絡先や応急処置マニュアルも事前にお伝えしています。
Q3. 避難所で配給される食事が甘いものばかり。むし歯が怖いです。
A. 災害時の配給食(パン、乾パン、おにぎりなど)は糖質が多く、歯にこびりつきやすいのが現実です。食べ終わった後に、お茶や水で一口ゆすぐだけでも効果があります。また、キシリトールタブレットを配布するなどして、お口の中が酸性になる時間を短くする工夫をしましょう。
Q4. 災害時、妊婦さんの口腔ケアで気をつけることは?
A. 妊婦さんはホルモンバランスの変化で「妊娠性歯肉炎」になりやすく、お口の細菌が原因で早産や低体重児出産のリスクが高まることが知られています。避難所でも、ご自身の体とお腹の赤ちゃんを守るために、口腔ケアシートなどを活用して、最大限にお口を清潔に保ってください。くるみ歯科の女医が、ママたちの不安に寄り添います。
Q5. 長久手市や藤が丘周辺で、災害時に歯科治療を受けられる場所はありますか?
A. 大規模災害時は、地域の歯科医師会が協力して救急歯科診療体制が整えられます。くるみ歯科も、地域の皆様のためにできる限りの支援を行う準備を進めています。まずは日頃から「かかりつけ医」を持ち、カルテを管理してもらっておくことが、緊急時のスムーズな対応に繋がります。
災害時のトラブルで最も恐ろしいのは、避難所での「激しい歯の痛み」です。 想像してみてください。余震が続き、水も満足にない避難所で、夜も眠れないほどの歯痛に襲われることを。それは本人にとっても、周りの家族にとっても、耐えがたい苦痛になります。
- ・「放置しているむし歯」をゼロにする:体力が落ちた時、むし歯菌は一気に暴れ出します。今のうちに完治させておくことが、最大のリスクヘッジです。
- ・歯周病の治療を済ませておく:歯ぐきの腫れを抑えておくことが、肺炎予防の第一歩です。
- ・定期健診を「防災訓練」と捉える:3ヶ月に一度のチェックで、お口の中を常に「最善の状態」に保っておく。これが、どんな防災グッズよりもあなたを助けます。
くるみ歯科では、土曜診療やWeb予約を完備し、忙しい皆様が「もしも」の時に困らないためのお手伝いをしています。女医5名が、それぞれの専門知識を結集し、皆様の家族全員の「お口の盾」を作ります。
3.くるみ歯科は、どんな時もあなたの家族の「笑顔」を守ります

「防災とお口」というテーマ、意外な繋がりを感じていただけたでしょうか。歯科医師として、私たちは皆様に治療を提供するだけでなく、皆様の「命」と「生活の質」を守るための情報を発信し続ける責任があると考えています。
長久手市、藤が丘周辺は、家族の絆が強く、お互いを思いやる心の温かい方々が住む素晴らしい街です。そんな皆様の平穏な日常が、もしもの時にも守り抜かれますように。今日からできる一歩として、非常用バッグを開けてみてください。そして、そこにご家族の笑顔を守るための歯ブラシを1本、追加してあげてください。
くるみ歯科には、広いキッズスペース、専任保育士がいる一時保育室、そしてお口の不安に寄り添う5名の女医がいます。「自分のことは後回し」になりがちなママも、一時保育を活用して、今のうちに自分の歯の点検にいらしてください。それは、家族全員の安心に繋がる、立派な防災アクションです。
備えあれば憂いなし。皆様の健康な笑顔が、どんな時も、そしてどんな場所でも守られ続けますように。
春の陽射しが心地よい藤が丘で、皆様の「お口の防災点検」をお手伝いできる日を、くるみ歯科スタッフ一同、心よりお待ちしております!
- 院長:竹中 純子
- 住所:〒480-1135 愛知県長久手市下山3-1
- 電話番号:0561-56-4182
- ホームページ:https://kids-kurumi.com
駐車場35台(専用14台+共同21台) -
藤が丘駅から徒歩7分!
キッズスペース完備- 一時保育室もご利用いただけます